近年、産業機器や搬送装置、ポンプ・コンプレッサなどの分野で「高電圧・高出力ブラシレスモータ(BLDC)」 の需要が急速に高まっています。 その中でも注目されているのが 600V系ブラシレスモータ。 従来の 24V / 48V / 200V クラスとはまったく異なる設計思想が必要で、高効率・高出力・高信頼性を同時に求められる領域です。
本記事では、600V系DCBLの特徴・メリット・デメリット・用途・設計ポイントをわかりやすく解説します。
一般的なDCBLは 12V〜200V が主流ですが、600V系BLDCは、直流600Vクラスの高電圧で駆動するブラシレスモータを指します。
600V帯は、以下の電源と親和性が高く、5〜10kW級の高出力モータに最適です。
・産業用インバータ(AC400V → 整流 → DC560〜600V)
・三相AC400V系の整流後DC
・大型設備の電源規格
【逆起電力が性能の鍵】
DCBLは高効率の一方で、逆起電力が特性の制約になります。
そのため、より高い電圧で駆動するほど性能を引き出しやすいという特徴があります。
【 整流電源の観点】
AC電源からDCを取り出す場合:
・AC200V → 整流 → DC280V
・AC400V → 整流 → DC560V
・AC200Vでも「倍電圧整流」を使えば DC560Vが得られる
→ 600V帯は産業電源と非常に相性が良い
【 高電圧化で電流が減る】
電圧が高くなると、同じ出力でも電流が小さくなり、損失(I²R)が大幅に低減 します。
①高効率(銅損が大幅に減る)
高電圧化により、電流が減少し、I²R(銅損)が劇的に減少します。
→モータを同じ回転数で回転させる場合に、高い電圧の方がトルク定数を大きく設計することができるため、同じトルクを発生するための電流値が小さくできます。
・発熱が減る。
・連続運転に強くなる
・モータの小型化が可能になる
②高出力化が容易(5~10kWで効果大)
低電圧で10kWを出そうとすると大電流が必要ですが、600V帯なら電流を抑えながら高出力を実現できます。
・ 配線・端子・インバータの負担が減る
・ 高出力でも安定した制御が可能
③インバータとの親和性が高い
産業用インバータは400V三相 → 整流 → DC560〜600Vが一般的。
そのため、600V系BLDCは既存の産業電源と直接マッチする という強みがあります。
①絶縁設計が難しい
600V帯では
・クリアランス
・沿面距離
・絶縁材料
・コイルの耐圧
が厳しくなるため、低電圧BLDCとは別物の設計が必要。
特に、低電圧では問題にならない“コロナ放電”が発生しやすくなる点が重要です。
②EMC(ノイズ)対策が必須
高電圧 × 高速スイッチングにより、dv/dtノイズが大きくなるため、インバータとセットでのEMC設計が重要。
③冷却設計がシビア
5〜10kW級では、空冷だけでは限界があり、水冷・強制空冷の検討が必要になる。
600V帯は、以下のような 高負荷・連続運転・高効率が求められる用途に最適です。
・産業用ポンプ(省エネ・ 高効率化)
・コンプレッサ( 高トルク・高出力)
・搬送装置(コンベア・リフター)(連続運転で発熱が課題)
・ロボット(大型アーム・搬送ロボット)(高出力 × 小型化)
・ブロワ・ファン(高速回転・高効率)
・小型発電・風力(高電圧化で効率が向上)
①絶縁設計(耐圧・沿面距離)
②冷却方式(空冷・水冷)
③インバータとのマッチング(IGBT/SiC)
④EMC対策(dv/dtノイズの抑制)
⑤トルク密度の最適化(IPM構造が有利)
※絶縁設計については600V系ブラシレスモータの絶縁設計をご覧ください。
※冷却については産業機器向けDCBLモータの冷却方式と熱設計をご覧ください。
※IGBT/SiCについては600V系ブラシレスモータに最適なインバータ素子とは?</a>をご覧ください。
600V系ブラシレスモータは、
高効率・高出力・高信頼性を同時に求められる産業用途に最適なモータです。
特に、
・5〜10kW級
・連続運転
・高負荷
・省エネ要求
のある装置では、600V帯のメリットが最大限に活きます。
銀河電機では、
600V系・5〜10kW級の高電圧DCBLの開発・カスタム対応を行っています。
用途に応じた最適設計をご提案できますので、お気軽にご相談ください。