「また作業者のミスか…」 現場で不具合が起きると、まずこう考えてしまうのは自然なことです。 しかし、実際にポカミスを分析すると、80%は作業者ではなく、工程や設備、治工具、作業方法といった “仕組み側の問題” で、 ”人にミスをさせている” ということもできます。 人は必ずミスをします。だからこそ、ミスが起きても不良にならない “仕組み” をつくることが品質の本質です。 その鍵となるのが、標準作業と自工程完結の考え方です。
本コラムでは、ポカミスの“本当の原因”と、再発を防ぐために必要な視点を整理します。
不具合やトラブルが発生すると、現場ではついこう言われがちです。
・ 「作業者が注意していなかった」
・ 「教育が足りない」
・ 「もっとしっかり作業すべきだ」
しかし、こうした判断は多くの場合 表面的な原因 からされています。
作業者に注意喚起をしても、教育をしても、検査を強化しても、同じ問題が再発するのはそのためです。
人の失敗、ポカミス/ケアレスミスの原因は次の3つに分類できます。
① 環境の問題(作業空間・環境条件の不備)
② 作業の問題(過度な作業負荷・作業条件・訓練不足・モチベーションなど)
③ マネジメントの問題(設備の人間工学的配慮不足、システム不適合)
そして、さらに重要な分析結果があります。
人の失敗の80%は作業者の問題ではなく、残り20%が単純な作業者のミスである。
つまり、作業者を責める前に改善すべき “仕組みの問題” が圧倒的に多い のです。
真因として次のような項目が挙げられています。
・ 作業指示書の不備
・ 設備・機械の不備
・ レイアウトの問題
・ 3S(整理・整頓・清掃)の不備
・ 治工具の不備
・ 作業方法の不備
これらはすべて 作業者の問題ではなく、工程や仕組み側の問題 です。
5回のなぜなぜが必要な理由 のコラムの核心は、
不具合の真因は 作業ミスではなく、技術・仕組み・工程条件 に潜んでいることが多い という点でした。
今回の資料は、この主張をデータで裏付けています。
1回目の「なぜ?」で出てくるのは作業ミス。
しかし、5回掘り下げると、
・ 作業指示書の不備
・ 設備の問題
・ 治工具の問題
・ レイアウトの問題
・ 作業方法の問題
といった 技術・仕組み・工程条件の問題 に行き着きます。
つまり、5回のなぜなぜとポカミス分析は同じ方向を向いている のです。
ポカミス対策の本質として次の2つが必要です。
・ 標準作業(Standard Work)
・ ポカヨケ(Poka-Yoke)
標準作業とは、人・モノ・設備を最適に組み合わせ、安全に、安く、良い品質で作るための “作業の型” です。
標準作業は、
・ 人の動作が中心
・ リズムのある繰り返し作業
・ ポカヨケと組み合わせてミスを防ぐ
という特徴があります。
そして、現場監督者が標準作業とポカヨケのレベルを継続的に上げること が重要です。
人はミスをしますが、これを補うことはできます。
それには、『品質を工程で作り込む』ということの実行が重要になります。
自工程完結(Build-in Quality)
→ 後工程に不良を流さない
→ 自分の工程で品質を作り込む
そのためには、
たとえ0.5秒でも品質チェックを動作の中に組み込む必要があります。
・ 単独の動作では守れない
・ 一連の自然な動作の中に組み込むことで守れる
・ これが標準作業の本質
さらに、作業者には
・ なぜチェックが必要なのか
・ ミスがあると製品がどうなるのか
・ 工程の品質機能とは何か
を理解してもらう教育(機能教育)が不可欠です。

・ ポカミスの原因の多くは作業者ではない
・ 真因を追究し、根本対策を行うことが必要
・ 標準作業は品質・納期・コストの原点である
・ 自工程完結の考え方が品質を安定させる
つまり、 人を責めるのではなく、仕組みを改善することが品質の本質 です。
後工程に不良品を流さない『自工程完結』の考え方で標準作業が考えられていることが必要なのです。
標準作業は作り方、教えかた、品質重視の考えかたが重要であり、全ての原点が標準化する作業です。
その考えかた、実施のレベルがD(納期)、Q(品質)になり、その結果としてC(コスト)が決められます。
人のミスの多くは技術品質(QE)の問題です。
QCとQEの違いについては 品質管理と品質工学の違いとは何か で詳しく解説しています。