車載部品ではゼロディフェクトが要求されます。 もちろん車載以外の民生品でも不良はないほうが良いに決まっています。 しかし車載でも一定の比率の不良が許容される部品/場合もあります。 車載のゼロディフェクトをうまく取り入れれば最小限のコストアップで品質向上ができるのではないでしょうか。
産業用・民生用モータにゼロディフェクト思想を応用する際、すべてを車載と同じレベルで管理するのは現実的ではありません。管理レベルを上げれば品質は向上しますが、その分コスト負担も大きくなります。
そこで重要になるのがリスクアセスメントです。
・車載では「人命に直結する不具合」をゼロにするため、全工程に厳しい管理を適用します。
・一方、産業用・民生用では、すべてを同じレベルで管理するとコストが膨らみます。
だからこそ、リスクアセスメントで重要度を見極め、重点管理すべき部分を抽出することが合理的なのです。
この考え方により、品質とコストのバランスを取りながら、信頼性を高めることができます。
車載用vs. 産業用・民生用
車載用 と 産業用・民生用のゼロディフェクトに関する取組の比較表

※ AQL:Acceptable Quality Level 許容品質レベル
※ 「特殊特性」は、特殊工程とは異なります。
特殊工程:製品が後工程で保証できない工程(検証に破壊試験などが必要な工程)
特殊特性:製品の品質や安全性に直結する特性(寸法、工程、性能など)
※ 検査原理主義:検査によって不良の流出を防止する考えかた。
※ 予防原理主義:全数保証をするために、そもそも、不良が作られないようにする考え方。
・統計的管理から予防的管理へ一歩進める
AQLや統計的管理を基本としつつも、「不良を出さない工程設計」を重視する。車載用の「次工程に不良を流さない」思想を取り入れることで、品質保証の信頼性が高まります。
・変更管理を徹底する
工程・設備・材料・人員の変更を体系的に管理することで、品質リスクを最小化できます。車載用の「4M変更手続き」はその好例です。
・特殊特性の考え方を応用する
重要寸法だけでなく、製品安全や信頼性に直結する「特殊特性」を見逃さずに管理することが必要です。
・検査原理主義から予防原理主義へ
検査で不良を見つけるのではなく、不良が出ない工程を設計することが大切です。産業用・民生用でも「発火や重大故障」を防ぐために有効で、顧客に安心感を与えます。
ゼロディフェクト思想は車載分野で生まれた厳しい品質要求ですが、産業用・民生用でも応用可能です。
ただし、すべてを車載と同じレベルで導入する必要はありません。重要な部分に限定して取り組むことで、品質とコストのバランスを取りながら信頼性を高めることができます。
AQL(Acceptable Quality Level:許容品質レベル)
抜き取り検査で「どの程度の不良率まで許容できるか」によりサンプリング数、判定基準、管理方法を定めた基準です。
ANSI ASQC 1.4が相当する規格であり、日本では JIS Z 9015、国際規格では ISO 2859 が該当します。検査原理主義の考え方と結びつきやすく、品質保証の基本的な考え方を理解するうえで欠かせない指標です。
特殊特性と特殊工程の違い
・特殊工程:後工程で保証できない工程。破壊試験などが必要で、ISO9001 8.5.1項 f) に規定されています。
・特殊特性:製品の品質や安全性に直結する特性(寸法、工程、性能など)。IATF16949 8.3.3.3項に規定されています。
→ 名前が似ていますが意味が異なるため、混同しないことが重要です。
検査原理主義
検査によって不良の流出を防止する考え方です。抜き取り検査の基準としてAQLを用いることが多く、「不良は出るもの」という前提で、検査で流出を防ぐ思想です。
予防原理主義
全数保証を目指し、そもそも不良が作られないようにする考え方です。工程設計や設備能力の確保、特殊特性の管理、SCPの活用などが中心で、「不良を作らない」ことに重きを置く思想です。