産業用/民生用部品の重要な部分(寸法、特性)に対して車載のゼロディフェクトの考えかたを取り入れるには、重要な部分を客観的に洗い出すことが必要です。 その為に、リスクアセスメントが有効になります。
ゼロディフェクト思想は産業用・民生用モータに対しても有効なものです。
しかし、産業用・民生用モータにゼロディフェクト思想を応用する際、すべてを車載と同じレベルで管理するのは現実的ではありません。
管理レベルを上げれば品質は向上しますが、その分コスト負担も大きくなるためです。
そこで重要になるのがリスクアセスメントです。
・車載では「人命に直結する不具合」をゼロにするため、全工程に厳しい管理を適用します。
・一方、産業用・民生用では、すべてを同じレベルで管理するとコストが膨らみます。
・だからこそ、リスクアセスメントで重要度を見極め、重点管理すべき部分を抽出することが合理的なのです。
この考え方により、品質とコストのバランスを取りながら、信頼性を高めることができます。
リスクアセスメントでは「影響度」と「発生可能性」を分けて考えることが重要です。
例えば、重大な機能不良(発煙・発火)は影響度は極めて高いものの、発生可能性は低いケースが多い一方で、材料不良(絶縁劣化など)は影響度は高いが、発生可能性は比較的高めに位置づけられることが多い、などが挙げられます。
整理するとこうなります
重大な機能不良(発煙・発火)
・影響度:極めて高い(人命や安全に直結)
・発生可能性:低(設計・材料選定・試験で抑え込まれている)
→ 優先度は高くなります。「稀にしか起きないが起きれば致命的」なリスクのため。
材料不良(絶縁劣化など)
・影響度:高い(性能低下・寿命短縮・安全リスク)
・発生可能性:中〜高(材料ロット差や工程条件で起こり得る)
→ 優先度は高くなります。「影響は高いが比較的起こりやすい」リスクのため。
「重大な機能不良は発生可能性が低いものの、発生すれば致命的なリスク。一方、材料不良は発生可能性が比較的高いため、重点管理すべき対象となる」
リスクアセスメントでは、このように影響度と発生可能性を組み合わせて優先度を決定し、ゼロディフェクト思想を適用する領域を見極めることが重要です。
このマトリクス図は、ゼロディフェクト思想を産業用・民生用モータに応用する際の重点管理領域を示しています。
影響度が高く、発生可能性も高いリスク(赤ゾーン)は、必ずゼロディフェクト対象として管理すべき領域です。
一方、影響度が中程度または発生可能性が低いリスク(黄・緑ゾーン)は、工程設計や統計的管理で対応することで、品質とコストのバランスを保つことができます。
このように、リスクアセスメントを活用することで、品質保証の強化と合理的な管理の両立が可能になります。

ゼロディフェクト(Zero Defect)は「不良ゼロを目指す品質保証思想」です。
車載業界では安全性に直結するため必須とされていますが、医療機器や食品、精密機器など不良が許されない分野でも同様に重要です。
単なるスローガンではなく
・不良を作らない工程設計
・特殊特性の管理
・予防原理主義の徹底
といった仕組みづくりを通じて実現を目指す考え方です。
ゼロディフェクト思想を活かすには、リスクアセスメントで重要な部分を見極め、重点的に管理することが大切です。
品質とコストのバランスを取りながら、信頼性向上を実現する現実的なアプローチと言えるでしょう。