建物の気密性向上により、換気扇への風量一定制御の導入要求があり、現在のACモータでは実現が難しい。
外部センサ不要の“モータ+ドライバ一体型制御”で、住宅換気の安定性能を向上。
近年の住宅では高気密化が進み、ダクト抵抗や外気圧の変動による換気量のばらつきが課題となっていた。
従来のACモータでは電圧変動に伴うトルク特性の変化が大きく、設定風量を安定して維持することが難しい。
風量一定制御を実現する一般的な方法として、ダクト内の差圧を検出するセンサー方式がある。
しかし住宅用換気扇では以下のような課題が大きかった。
・センサーの設置位置や配管取り回しに制約が多い
・ホコリや湿気によるセンサーの経年劣化・校正が必要
・センサー+制御基板の追加でコスト増、スペース確保が困難
・静音性確保のための制御設計が複雑化
このため、センサーを使わずに風量一定制御を実現できるモータ技術が求められていた。
新たに採用したDCブラシレスモータ(DCBL)は、ドライバとマイコンをモータ内部に一体化。
モータ自身が持つ電気的情報を利用し、外部センサーを使わずに風量を推定・制御する。
技術ポイントは以下の通り。
・モータ負荷トルクからダクト抵抗変化を推定
電流値・回転数・誘起電圧などのモータ内部パラメータを解析し、風量変化を推定。
・マイコンによるフィードバック制御
推定風量に基づき回転数を自律調整し、外気圧や電圧変動があっても設定風量を維持。
・外部センサ不要のため、構造がシンプルで高信頼
センサーの汚れ・故障・校正といったメンテナンスが不要。
技術者視点では、
「差圧センサー方式の課題を、モータ内部の電気的情報を使った推定アルゴリズムで置き換えた」という点が大きな価値となる。
省エネ・静音・高信頼性を同時に実現
・電圧変動や外気圧変化に対しても風量を一定に保持
・モータ効率向上により消費電力を削減
・外付け制御基板やセンサーが不要となり、製品構造が簡素化
・センサー故障リスクがなく、長期的な信頼性が向上
・モータ制御最適化により静音性も改善
住宅用換気扇に求められる「省スペース・低コスト・静音・高信頼性」を同時に満たすソリューションとなった。
モータの回転数・推定風量データをクラウドへ送信し、室内CO₂濃度や生活パターンに応じた自動換気制御が可能になる。
さらに、AIによる汚染度予測を組み合わせることで、最適な換気運転を実現するスマート換気システムへ発展する。